2007.5.17
関西アート情報ポッドキャスト「ARCAudio!!」
毎週木曜日はSpecialThursdayと題しての特別企画。
今月は大阪の芝居ユニット名前はまだなゐが大阪の街をバックにラジオドラマを展開!モチーフはなぜだかしら「桃太郎」!
今回第三話は谷町9丁目のホテル「べんきょう部屋」前にて。いよいよ桃太郎が鬼が島に鬼退治!のはずなんだけど…あれ!?なんかおかしい展開に…。
[SpecialThursday:名前はまだなゐのラジオドラマ【鬼の恋伝説@谷町9丁目ホテル「べんきょう部屋」前】]をダウンロード
今日の主役は鬼が島ならぬ「鬼第一銀行」の行員の鬼二匹。このふたりが織り成す20年前の刑事ドラマか昼ドラばりの切ない恋物語。おいおいこれでは、桃太郎が完全に悪者ではないですか。そうか、そもそも完全懲悪の話ではないのかも…この「桃太郎」は。
【名前はまだなゐプロフィール】
さみしがりのあかんたれ。が、1人だなぁ、と感じた時に、あぁ、1人さ、という思いで舞台に立つ。
舞台に立つ時の名前を考えて・・結論は「いらない」。
「名前はまだなゐ」は、杉田真吾が1人で2005年にスタート。
とにかく自分の感性のままに歩いて公演を打ち続ける。
勝手に全国放浪しながらライブハウスで発表したり、奇跡を信じてブッキングライブ3daysを敢行したり、
とにかく感じる方向に歩くと、そこにはいつも音とリズムがある。
音とリズムで物語を刻む。
感覚的物語構築と自分で自分の作品の雰囲気を説明するが、誰も
「うん、そうだね」
と言ってくれないまま時が過ぎ、メンバーが増える。
現在、演者5人、制作1人。
それでもやはり、「名前はまだなゐ」。
いつになれば名前がつくのか心配される。
「楽器レスバンド」を掲げだし、
「シンクロナイズド・スポークンワーズ」
と呼ばれだし、
「物語を目や耳で感じて」
などとお願いしだして、今に至る。
現在「まるっきり0から何かを作る」ためにリーダー担当 杉田真吾は一人、沖縄で作品制作中。
残りのメンバーはそれぞれ関西で活動中。
【今回の台本】
第三話 谷町9丁目ホテル「べんきょう部屋」前にて 鬼の恋伝説
鬼1:有北雅彦
鬼2:嘉納みなこ
関連サイト:http://blog.livedoor.jp/kanoutoossan/(かのうとおっさん)
好きな人が好きに読む 世界はいつもこんがらがって転げまわる。
君はいつも自分が正しいと信じる
う・ちゅ・う・に・の・っか・って
お願い誰も傷つかないで
お願い誰もが傷ついて
正しいと悪いのちょうど中間で
物語が始まりを告げる
鬼1 またかい・・
鬼2 すいません
鬼1 ・・・
鬼2 すいません
鬼1 どうして・・・
鬼2 間違えてしまいました。
鬼1 それはわかっているんだ。
鬼2 すいません。
鬼1 どうして間違えたのか、と聞いているんだよ。
鬼2 勘違いで・・・
鬼1 勘違いで?
鬼2 はい。勘違いで。
鬼1 勘違いでやってしまった・・と。
鬼2 はい。
鬼1 勘違いで一億円の損失を出した・・と。
鬼2 すいません。
鬼1 何、と勘違いしたんだね。
鬼2 銀行強盗・・・と。
鬼1 ・・・子供だったね。
鬼2 はい。
鬼1 どうして・・・銀行強盗と思ったんだね。
鬼2 黒。
鬼1 ん?
鬼2 黒い・・
鬼1 ん?
鬼2 黒い服を着ていたもんで。
鬼1 それで?
鬼2 銀行強盗か、と。
鬼1 黒い服か・・・
鬼2 はい。
鬼1 それで?
鬼2 とりあえず手をあげまして。
鬼1 うん。
鬼2 バカなことはやめなさい!!と
鬼1 子供はなんて言ったのかね?
鬼2 母さんがお金をおろしてきてちょうだい、と言ったと。
鬼1 それで?
鬼2 「母さん」というのがボスの名前だと思いまして
鬼1 ふん。
鬼2 そう言われれば、確かにそういう名前の強盗団がいたような気がしまして。
鬼1 なるほど。
鬼2 か!!あの母さん一味の・・と言いました。
鬼1 何一味?
鬼2 母さん一味。
鬼1・2母さん一味。
鬼1 それで?
鬼2 い、いくら欲しいの?と言いました。
鬼1 すると?
鬼2 堂々と指をこう一本立てましたので。
鬼1 子供が?
鬼2 黒づくめの。
鬼1 それで?
鬼2 い。い。いちおく?と言いました。
鬼1 どうしてそう思ったのかね?
鬼2 やはり、有名な強盗団なら百万や一千万なら少ないかと・・
鬼1 ふむ。それで?
鬼2 とりあえず非常ベルを押そうかと思ったんですが。
鬼1 そうだね。
鬼2 「母さんにしっかりやりなさい」って言われてるの、と言うも
んで。
「シッカリヤリナサイ」という言葉が私を縛りまして。
鬼1 それで?
鬼2 余計なことをすれば殺される、と思い。
鬼1 ふむ。
鬼2 お金を差し出しました。
鬼1 なるほどねぇ。
鬼2 すいません。
鬼1 うむ。
鬼2 本当にすいません。
鬼1 ・・・まぁ仕方がないが・・・
鬼2 反省してます。
鬼1 私は実はよく小説を書いていてね。
鬼2 店長が?
鬼1 あぁ、くだらない鬼の趣味の1つなんだが。
鬼2 いえ、素敵です。
鬼1 その小説がまたありえない設定でねぇ。桃から人が生まれたりするんだよ。
鬼2 はい。
鬼1 私はこう、空想物語のつもりだったんだが。
事実は小説より奇なり、とはよく言ったもんだねぇ。
鬼2 はい?
鬼1 私の想像の範疇を越えていたよ。この事件は。
鬼2 すいません。
鬼1 ふむ。まぁ、仕方が無いな。君は赤鬼だったね。
鬼2 はい、見てのとおり。しかも角がないですからね。
鬼1 君は角を気にしているね。
鬼2 だって角がないと鬼らしくないじゃないですか。
鬼1 そんなことないよ。でも赤鬼はそそっかしい子が多いと言う
からねぇ。
鬼2 それは迷信ですよ。
鬼1 いやいや、私は青鬼だろ?やはりこう几帳面で型から出ないと
こがあるんだよ。
鬼2 そこが素敵なところです。
鬼1 そんなことないよ。嫁には逃げられるし。
鬼2 え?
鬼1 やはり角が一本は甲斐性がないのかねぇ。
鬼2 そんなことありません!!店長は素敵です。
鬼1 え?
鬼2 え・・いや、あの・・なんというか、鬼として・・・
鬼1 鬼子君・・・
鬼2 すいません・・・
鬼1 いや、かまわないよ。
鬼2 あの、私、じゃあ業務に戻ります。
鬼1 鬼子君!!
鬼2 はい!!
鬼1 今日、どうだね。仕事の後・・・
鬼2 え・・あの、反省文を書かないといけないので遅くなりますが
鬼1 ちょうど良かった。私も監督不行き届きで反省文なんだ。
鬼2 店長・・・
鬼1 それでは、決まりだ。うまいワニ料理の店があるんだ。
鬼2 はい・・・
鬼1 では、業務に戻るかな。もう一億円は気をつけてくれよ。
鬼2 はい。店長。
太郎 ガタン!!動くな!!正義の味方だ!!
牛 モー
鬼1 何?
鬼2 あ!!いらっしゃいませ。
鬼1 鬼子君!!
太郎 やい!!鬼!!今までの悪行三昧、この太郎がゆるさネェ。
鬼2 はい。ありがとうございます。引き落としですか?
太郎 なんでもここには金銀財宝がっぽりらしいじゃねぇか。
有り金全て渡しやがれ!!
牛 モー
鬼2 え!!・・・定期の解約でしょうか?
鬼1 鬼子君!それは!!
鬼2 当「鬼第一銀行」の通帳・印鑑は本日はお持ちですか?
鬼1 鬼子君!!それは!!
太郎・鬼1 銀行強盗だ!!
牛 モー
その瞬間太郎について来た牛は駆け出した。
こ・う・ふ・んを抑えきれなかった。
だって鬼子は「赤」鬼だから。
牛は「赤」に興奮してしまった。
スペインの闘牛のように牛は鬼子に向かって駆け出した
鬼1 鬼子君!!
次の瞬間、大きなドカンという音がして、土煙がモクモクとあがった。
牛は自分のしでかしたことの大きさに「もー」と叫んで逃げていった。
そして土煙が徐々におさまると、そこには鬼子をかばって倒れている店長の姿があった。
鬼子は叫んだ
「店長」
しかし返事はない・・
鬼2 店長!!
鬼1 ・・・やぁ、鬼子君・・無事かい?
鬼2 店長!!しっかり!!
鬼1 鬼子君、今日のワニ料理、楽しみだね。
鬼2 そうですね、店長、店長!!
鬼1 実は私、恥ずかしい話だが、君を主人公に小説を書いているんだ。
鬼2 え?
鬼1 見せたかったなぁ・・君に。
鬼2 今度、今度、見せてください、ね、店長。
鬼1 鬼子君・・
鬼2 はい・・・
鬼1 君は角がないことを気にしていたね。
鬼2 はい。
鬼1 だが、角のない赤鬼と角1本の青鬼はすごく相性がいいんだ・・・よ。
鬼2 え?
鬼1 まぁ、それももう夢・・か。
鬼2 店長?店長!!!!!
太郎 ちっ!!牛の野郎、暴れやがって。おい!!この金はもら っていくからな!!じゃあな!!
鬼2 はっ!!!この・・・鬼めっ・・・
エンディング ラッセーラーラッセーラにのって
~こうして太郎は無事に鬼が島で鬼を征伐し、金銀財宝を手に一路ふるさとへと戻るのでした。すごい
ぞ、太郎。がんばったぞ、太郎。ここからどうやって後一話続くのでしょうか?それでも物語は後一話
、続いていくのであります~
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【記事担当】
アサダワタル(築港ARCチーフディレクター/大和川レコード)
築港ARCの総合ディレクション担当、及び、アーティストとして弾き語りを中心に、打楽器演奏、ビデオパフォーマンスなどを行う。
http://www.geocities.jp/endeavor0203/
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