2007.11.20
こちらも広報協力させていただきました。神戸アートビレッジセンター主催による
アートツーリズムワークショップ「神戸観考」
〜アーティストの思考と感性をめぐる旅〜
第1部は美術家・島袋道浩さんが船上で神戸のお話と食べ物をナビゲート。
第2部であるその夜は、伝説の船員BARで自身の作品や島袋さん周辺をお話下さいました。
島袋さんのゆるやかーで、おいしーい場作りを体験してきました。続くーー→
神戸アートビレッジセンターでは、今秋に開催される「神戸ビエンナーレ」を契機に、新しく多様な【神戸】について、観て、考える『アートツーリズムワークショップ「神戸観考」』を実施します。このプロジェクトでは、まちの景観を含む神戸の地脈に関する考察もさることながら、【人的財産と磁場に関する神戸資源の考察】をテーマに、アートの最も根源的な存在となるアーティストをクローズアップした独自のプログラムを提案します。
神戸に生まれ育ち、現在はベルリン在住の島袋道浩は、様々な国や地域を訪れて作品を生み出す、旅するアーティストです。また、かつて神戸港で働いた経験もあり、船や海にまつわる作品も数多く手がけています。今回はクルージング&トーク、そして伝説の船員BARでの語らいなど、オリジナルな港町神戸の旅を提案します。(特設サイトより抜粋)
<プログラム一部>
早速、大客船に乗って出発!天気もいいので、船の外へ出てどんどん離れていく神戸の町を眺めます。
500億かけてつくる潜水艦や、大きな船の作ってる造船場が見えました。
神戸は海も山も近いので冬はとても寒くなるんですが、この日はぽかぽかと陽気なお天気でクルージング日和でした。
そうこうしてたら、島袋船も話もぐんぐん進みます。
美術活動しながら神戸港で働いていたとき、船乗りさんは外国が見えてきたことを「丘が見える」と言うそうで、島袋さんはその船乗りさんの「世界を縦に切るのではなく、横で見ている感覚」にとても憧れていたようです。当時働いていたときは、船の掃除をしたり、海にお客さんが飛び込まないように見張ったりしていたそうです。(笑)
美術展示のお声があったときでも断ってまで、船で働いていたそうな。ほんとに船という移動することが好きなように思えます。
島袋さんのご希望でこの船で出来るだけ遠くへ行きたい!ということで、普段乗る船のコースの倍の距離まで遠くまでいくことができ、明石大橋も小さく見ることが出来ました。
神戸空港が出来た頃は神戸出身の島袋さんは必要かなあ、と疑問を抱いてたそうなんですが、沖縄から神戸に帰る機会があったとき、神戸空港を利用したところ本州がほんとに陸続きになってるんだなあ、と感動するほど、飛行機の窓から陸や海が見えたそうです。お近くの方はぜひご体験を。
今度は中へ入って、島袋さんの作品を見ました。テーブルにはお茶と豚まんとお手拭きが。
神戸にいた頃、よく食べてた老祥記(ろうしょうき)の豚まんをみんなに食べてもらいたい!ということで用意して下さいました。やったー。「冷めてもおいしいよ」ともぐもぐ食べながら島袋さんの作品紹介が始まります。
サンパウロ・ビエンナーレで出品された「そしてタコに東京観光を贈ることにした」という映像作品を見ました。この作品は東京現代美術館で行われた企画によってつくられたもので、「誰かに何かをプレゼントする」というわけで、島袋さんは「タコ」に「東京観光」を贈る事にしました。
この作品を海外で展示するときは、タコを東京に連れていって海に返すまで撮っている内容の字幕を入れるんですが、サンパウロでもポルトガル語を入れようと思ったところ、一般の人たちの中で字を読めない人もいるということを知り、この映像の内容を路上で毎日演奏していた2人のおじさんたちに歌で解説してもらい、その映像も同時に隣で流したそうです。
その記録映像も見せていただいたのですが、タンバリンのような楽器を使って、2人のおじさんが漫才のように掛け合いしながら歌を歌っています。普段、路上で演奏しているときは2人の日常のお話を歌っているのですが、その路上演奏を気にいった島袋さんは毎日通って、自分の作品に協力してもらったそうです。「おかしな漁師の島袋は」と間違った肩書きのフレーズもあり、その誤差さえも「伝えること」を表現しているように思えます。
最後には、シュークリームが出てきまして、こちらも島袋さんがフランス人に「日本にはおいしいシュークリームがあるぞ」と伝えてしまう程大好きなシュークリームだそうな。
たしかにおいしい。クリームの甘さが絶妙。硬めの皮も良い◉
「エストローヤル」のシュークリーム。http://www.estroyal.co.jp/
みんなでほおばりながら、最後の最後に船の中で歌謡曲を爆音で選曲。働いていたときも歌謡曲を船の中で流そうとしたらそれはダメだ、とクラシックを惜しくも流していたそうで。歌謡曲を流したかったそうな。神戸の海を歌ったものなどの選曲に島袋さんになんだか近づいた気がします。
歌謡曲を聞きながら、海を眺めていると神戸港に到着、プログラム一部は以上で終了しました。
<プログラム二部>
そして少し時間が経ってから、指定の場所に集合とのことで地図を見ながら向った先は、看板を見つけたもののドアが見つからない。路地!といわんばかりの肩幅程の道に入ってみるとドア発見。
恐る恐るドアをあけるとぎゅうぎゅうの人たち。定員20名なんですが、それでもギリギリ。
落ち着いてじっくり店内を見ると、カセットテープのジュークボックスや伊勢エビ?ロブスター?の標本。古いレコード、ジェームズ・ブラウンのようなカウンターのお兄さん。と様子が違う。
このお店は「BAR CHARLIE BROWN」という実在するバーで。昔は外国人のオーナーだったらしく、島袋さんは怖いものみたさに1人でよく来たとか。現在はその方はもう亡くなれてしまったんですが、そこの通っていた方が経営されています。今日もその方がカウンターについていました。
BGMはもちろん歌謡曲。
島袋さんは今回、カウンターの中に入って、作品紹介しながら現在の活動のお話を聞かせていただきます。
韓国で出品された美術館の屋上でトビウオを使った朝ご飯をみんなで作って食べる「tomorrow」やU.Kで展示したじゃがいもが魚と一緒に泳いでいる様子を撮った映像作品「Fish & Chips」と、それにひどく感化されたバンドマンたちと今度はPVを作ったということでその映像など、これまでの映像作品をたくさん見せていただきました。
8mmフィルムで男性が海の中を泳いでいる映像なんですが、とてもゆるくて音楽にあってました。あと、以前中国で買った魚の凧を空に揚げる映像を作ったとき、魚のカタチをした凧はほんとに魚の動きをすることに感動し、今度は島袋さん自身のカタチの凧を作って凧を揚げた映像を見せていただきました。凧を揚げてるときにみるお客さんの反応、凧が落ちて行く様子がなんとも面白かったです。
そして、一番最近試みている活動は、タスケという聴覚に障害を持った男の方と野村誠さんとで音楽活動しているそうです。ライブはもちろん、CDも作ったそうです。
このタスケさんとは、東京の路上で歌っているところを出会ってから音楽活動が始まったらしく、歌も聴かせてもらったんですが、とても惹かれる声をしていて惹かれる理由がわかります。
タスケさんも、いろんな町に行ってはそこでの歌を作って歌うというスタンスなので、島袋さんも共感できるなあ、と感じたそうです。
一時期は東京でのライブ三昧で忙しかったほど活動していたそうな。今後はどう展開していくのか楽しみ。
映像をさかなにお酒飲みながら、ゆったりフリータイム。島袋さんの同級生らしき方も来られていたようで地元の雰囲気が出て、いろんなところで隣通しの方と自由にお話ししていました。
私自身、島袋さんの作品をみたのは1回だけだったのですが、今回ツアーに参加してみて、島袋さんのことが少しわかった気がしました。次はどこに行くんでしょうか、島袋さんの行方がとても気になります。またいつかお会いしたい、素敵な人(作品)でした。
<イベント概要>
2007年11月10日(土)
●一部●
会場:ロイヤルプリンセス号
15:00〜17:00(乗船料込み2000円/要事前申込み・先着順/定員50名)
●二部●
会場:伝説の船員バー
19:00〜21:00(1drink付き1500円/要事前申込み・先着順/定員20名)
※お申込頂いた方には会場までの地図をお送りします。
イベント詳細URL
http://kavc.or.jp/art/aip/art_tour/cn3/pg24.html
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【記事担当】<ぶん・しゃしん>
蛇谷りえ(築港ARC 企画・広報担当)
築港ARCの企画・広報担当してます、高校のときからデザイン畑で育った美術好き。
好物はコミュニケーション。みんなのわたしの生活記録係、始動中。
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